肺炎になるとどうなるの?
肺炎と風邪との違い、
肺炎のリスクを知ってください。
肺炎は、風邪とは違います!
肺炎の主な症状は、発熱、咳、たんなどで、風邪とよく似ており、症状から見分けるのは難しいのですが、両者はまったく異なる病気です。大きな違いは感染が起こる部位です。
風邪は主に鼻や喉といった上気道に原因微生物が感染して炎症を起こすのに対して、日常でかかる肺炎は主に肺の中の感染症であり、肺胞という部位に炎症が起こります。

肺胞は、酸素を取り込み二酸化炭素を吐き出す「呼吸」を行っているので、肺胞に炎症が起こると、息苦しさを感じたり、呼吸が速くなったり、ときに呼吸困難に至ることもあります。
肺炎は入院が必要なほど重症化する場合があるので、「風邪」とはまったくの別物と考えて注意すべき病気です。
肺炎と風邪の特徴

高齢者の肺炎の特徴
高齢者では・・・
典型的な症状がはっきり現れないことが多く、高熱も出にくい8) そのかわりに




などの不定愁訴が起こる、急激に症状が進むこともある9)
高齢者の肺炎では、発熱や咳、たんなどの症状があまりみられず、肺炎と気づかないうちに重症化する危険性があります。
体力、免疫力が低下した高齢者では、症状が急激に進行し、命に関わることがありますから、風邪のような症状がある、体調がおかしい、元気がないなど、いつもとは違う様子で気になる場合には、お早めにお医者さんにご相談ください。
高齢者が肺炎で入院すると・・・

入院により足腰の筋肉が衰える10)

入院により認知症になる可能性がある11)

心筋梗塞のような心臓の病気や脳卒中にかかりやすくなる12)
ことが報告されています。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)に気をつけよう!
誤嚥性肺炎とは、唾液や飲食物などが誤って気管に入り、それと一緒に細菌などが肺に入り込むことで起こる肺炎です。
高齢者では、気管に入ったものを咳で外に出す力が弱くなったり、飲み込む力が弱くなっているため、誤嚥が起こりやすくなります。
誤嚥するのは飲食物に限りません。たとえば夜寝ている間にわずかずつ唾液が気管に流れ込むことがあり、こうした唾液にたとえば肺炎球菌などの細菌が含まれていると肺炎を起こすことがあります。誤嚥性肺炎の多くは唾液に含まれる細菌が原因になります。
また、誤嚥しやすい方は繰り返し誤嚥性肺炎を起こすようになります。ですから、常に口の中を清潔に保つことは肺炎予防にとっても重要なことなのです。
ご家族は肺炎予防をしていますか?
65歳以上のご家族をお持ちでしょうか?
肺炎で亡くなる日本人*の97.9%が65歳以上の高齢者です(2021年)。
年をとるとともに身体の機能は衰え、病気に対する抵抗力(免疫力)も低下し、肺炎のリスクが大きく増加します。
*新型コロナウイルス感染症による死亡者は含まれません。
また、喫煙歴の有無や喘息などの呼吸器の病気、心不全など心臓の病気、糖尿病といった持病をお持ちの場合、ご家族の肺炎のリスクは増大します。
肺炎のリスクと予防方法を知り、ご家族の健康を見守ってください。

厚生労働省. 人口動態統計(確定数)2021年より作成
出典
1)日本呼吸器学会. 呼吸器の病気 A-04感染性呼吸器疾患 市中で起こる肺炎
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=4(2020/4/30アクセス)
2)日本呼吸器学会. 成人肺炎診療ガイドライン2017
3)日本呼吸器学会. 呼吸器の病気 A-01感染性呼吸器疾患 かぜ症候群
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=2(2020/4/30アクセス)
4)石黒卓他.日呼吸会誌.2011;49(1):10-19
5)日本呼吸器学会.咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
6)藤友結実子 他. 京府医大誌. 2013; 122(8): 541-547.
7)Kardos P, et al. Pneumologie 2017; 71(4): 221-226.
8)Norman DC. Clin Infect Dis.2000; 31(1): 148-151.
9)厚生労働科学研究費補助金、新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業、重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に対するサーベイランスの構築と病因解析、その診断・治療に関する研究(H22- 新興- 一般- 013)報告書
10)Martín-Salvador A, et al. Arch Bronconeumol. 2015; 51(10): 496-501.
11)Shah FA, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2013; 188(5): 586-592.
12)Corrales-Medina VF, et al. JAMA. 2015; 313(3): 264-274.
監修
地方独立行政法人 長崎市立病院機構 副理事長/長崎みなとメディカルセンター 院長
門田淳一先生
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